8月4日掲載
STD性交感染症について
梅雨も明けてせみ時雨で寝苦しい朝を迎えた夏子さんは悩みを抱えて一人でやって来ました。
この頃帯下(おりもの)が多いのと外陰部掻痒感、とてもかゆいのだそうです。
夏子さんには、恋人がいるので、雑誌で読んだSTDを心配してきたわけです。
AIDSを心配する夏子さんですが、パートナーが特定されている夏子さんがAIDSになることは、確立からいってまずありえません。
風邪を引いて抗生物資を長く飲んだそうです。多分カンジタ性膣外陰炎でしょう。
内診し膣分泌物を検査しカンジタ・アルビカンスと言う種類のかびが見つかりました。
カンジタ膣炎はセックスでうつる事が多いのですが、膣の中の定在菌として普段から膣の中にいるのです。
病気や、妊娠中、疲労などで抵抗力の落ちた時や抗生剤の服用で膣の自浄作用が弱くなった時に発祥しやすいのです。
特に蒸れるとカビですからなおりにくくなります。
ストッキングGパン、ガードルはあまりよくありません。おりものシートは便利ですが、交換を頻繁にしないとかえって蒸れたり、細菌の温存地帯になってしまいます。家族と一緒の湯船でかまいませんが、下着は別洗い、タオルは自分専用を使ってね。
小さな赤ちゃんのいるママはおむつかぶれ(乳児分芽菌性紅斑)の原因にもなりますから気をつけてね。
妊婦さんは、お産までに治しておきましょう。
稀ですが、産道感染を起こして赤ちゃんのお口の中にカビが出ておっぱいが飲みにくくなります。
セックスパートナーは、できれば泌尿器科を受診して一緒に治すといいのですが、男性はあまり症状も所見もでないのです
。そのために彼女が難治となり易いのでできれば一緒に薬を飲んでもらったほうがベターです。
治療中のセックスは待っていてあげてください。お互いのためにコンドームは忘れないでね。
どんなに気を付けていても再発を繰り返す人が多いです。これは、カンジタが常在菌のためでしかたがないのです。
症状の在る時は根気良通院してください。
治療は抗真菌剤の内服とクリームの外用に加えて膣洗浄と膣座薬を使います。
生活スタイルに合わせて治療を相談してください。
「先生膣自浄作用ってなんですか?」夏子さんの質問です。
女性の体は赤ちゃんを作るために膣とお腹の中はつながっているのです。
つまり膣の中は常に細菌感染の危険があり、細菌が子宮頚管、卵管を通じて腹腔内にあがってしまわないよう自浄菌(デーデルラインかん菌)とエストロゲン(卵胞ホルモン)が膣の中を酸性に保って自己防衛をしてくれているのです。
だからビデで毎日洗浄をしてしまうと返って良くないのです。
女性の体はうまくできています。でもたくさんのSTDから身を守るには、どうしたら良いでしょう。
来週はそのお話です。